新型コロナが休眠がん細胞を目覚めさせる…米国医師会雑誌で報告
「2025年8月29日付の米国医師会雑誌医療ニュースに興味深い記事が掲載されました。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの呼吸器ウイルス感染が、体内で眠っていた『休眠がん細胞』を再び活性化し、再発や転移を引き起こす可能性があるというのです」
■寛解から転移・再発のリスク
記事は、乳がん寛解の妹が新型コロナ感染で再発・転移して短期間で亡くなったことをきっかけに、呼吸器疾患と休眠がん細胞について調べたロンドン大学医学部教授らの研究がもとになっている。この研究チームが総合科学雑誌「ネイチャー」に発表した直近の研究では、乳がん細胞を移植して休眠状態にしたマウスに亜致死量のインフルエンザAウイルスを感染させたところ、肺の中で休眠していたがん細胞が増殖を始め、2週間以内に転移性病変に拡大したという。新たにSARS-CoV-2でも同様の現象が起こるかを調べたところ、感染後28日でがん細胞が顕著に増加した。
研究者らはさらに、新型コロナ流行中のがんサバイバーから収集されたデータを分析。新型コロナ検査陽性の患者は、陰性の患者に比べてがん関連死亡のリスクが2倍近くも高かった。さらに乳がんと診断された後に新型コロナ検査陽性になった患者は肺に転移する可能性が高かったという。