「妊婦の解熱鎮痛剤が子供の自閉症リスクを高める」の真相…トランプ流の医療情報に踊らされるな
しかし、この論文で収集された研究データは偏っている可能性があり、過去の研究データが網羅的に収集できていません。つまり、自閉症のリスク増加を認めていないことを報告した研究データが軽視されているということです。
また、この論文著者のひとりであるハーバード大学のアンドレア・バッカレッリ氏は、妊娠中のアセトアミノフェン使用と神経発達障害との関連性をめぐる薬害訴訟において、原告側の証人を務めていたことが開示されており、このような立場にあることが、研究データの集め方に一定のバイアスをもたらした可能性も指摘できそうです。
■科学的根拠が乏しい
この論文で評価された46研究の中でも、最大規模の症例数を分析した研究は、2024年4月に米国医師会誌で報告されています。248万797人の小児を解析対象としたこの研究では、妊娠中のアセトアミノフェンの使用と、出生時の神経発達障害の関連性については、遺伝的な要因や生活環境などの要因によって説明が可能であり、アセトアミノフェンが原因とは考えにくいと結論されています。