「妊婦の解熱鎮痛剤が子供の自閉症リスクを高める」の真相…トランプ流の医療情報に踊らされるな
欧州医薬品庁もまた、「アセトアミノフェンは、妊娠中の痛みや発熱の治療において重要な治療の選択肢であり、妊娠中に同薬を使用しても、出生児が自閉症を引き起こすという根拠は見つかっていない」というメッセージを発出しています。
トランプ大統領が提示した根拠のひとつは、2025年8月14日付で環境衛生に関する専門誌に掲載された論文です。この論文は、これまでに報告されている妊娠中のアセトアミノフェン使用と、出生時の自閉症や注意欠如・多動症(ADHD)など、神経発達障害との関連性を報告した研究データを網羅的に収集し、それぞれの研究結果を定性的に評価したものです。
この論文では、最終的に46件の研究データが評価対象となっています。このうち、27件の研究データでは、妊娠中のアセトアミノフェン使用で神経発達障害のリスク増加を認めた一方、9件の研究データではリスクとの関連性を認めず、4件の研究データではリスクが低下していました。一連の結果を踏まえ、この論文の著者らは「妊娠中の女性に対してアセトアミノフェンの使用を制限するよう助言し、胎児の神経発達を保護するための適切かつ緊急の対策を講じるべきである」と結論していました。