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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

薬剤師の何げない言葉からわかった患者家族の意外な状況

公開日: 更新日:

 実際にご自宅を訪問すると、管理不足はお金の問題だけにとどまらず、部屋も荒れている様子でした。ご自宅には食べるものもほとんどなく、お母さんの介護も十分にはできていない状態でした。

 しかし、ごきょうだいからは「母親の面倒を見るように」と強く言われており、たとえ施設に入居させても連れ戻そうとするといいます。本当は世帯分離をすることで娘さんは生活保護を受けられ、金銭的な負担が軽減されますが、現状ではそれも難しい状況でした。

 私たちは、これらの状況を総合的に判断し、「精神科の介入が必要ではないか」という結論に至りました。精神科の介入により、利用できる福祉制度が増える可能性も考慮したためです。

 精神科の診察には拒否感を示す方もいますが、この娘さんの場合はその可能性があると想定できたため、最大限に配慮した言い方で精神科医の先生に診察してもらえるよう手配しました。

「本人が勝手にやっているのだから自己責任だ」という意見もありますが、このように周りからは理解しがたい状況であっても、必ずその背景には理由があります。そして、周りのちょっとしたサポートによって、状況が改善することが多々あるのです。

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