(1)糖尿病治療を変える…オートファジーの再利用機能を取り戻す
「糖尿病治療で新たに注目されているのが、オートファジーを整えるというアプローチです。細胞ごとに詰まっている流れを整え、本来持っているオートファジーの再利用機能を取り戻し、糖尿病だけでなく生活習慣病全般を治療していくのです」
たとえば、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬には、オートファジーを誘導し、脂質代謝を改善する働きがある。最近、肥満治療で話題になっているGLP-1受容体作動薬もオートファジーを促進することがわかっている。運動は、どういった方法が効果的なのかはエビデンスが出ていないものの、運動そのものがオートファジー活性化のスイッチとなる。
「糖尿病に対するオートファジー治療は、代謝異常を是正する段階から一歩進み、細胞レベルでの恒常性回復と再生を促す、次世代の治療概念へと進化しています」
▽高橋利匡(たかはし・としまさ) 総合内科、糖尿病、老年病、消化器病が専門。2018年に渡米しシンシナティ小児病院、トロント大学で博士研究員としてオートファジー研究に関わる。24年から現職。公式ホームページ:https://toshimasa-lab.com


















