90代の母親が60代の息子を介護…「老々介護」の現実
「厳しい言い方になりますが、このままだと命に関わる可能性もあります。心臓以外に悪くなっているところがないかも、きちんと調べたほうがいいですよ」(私)
状態の深刻さを理解していただこうとしても、お母さまの関心は病状そのものよりも、周囲の目に向いているようでした。
「では、5日に〇〇〇病院へ当院から問い合わせてみます。もし難しければ、近隣で循環器を診てもらえる病院を探します。それでも見つからなければ、救急車を呼ぶしかないと思います」(私)
「わかりました」(患者)
そして5日、ケアマネジャーから連絡が入りました。
「お母さまが、どの診療科を受診するのか、介護タクシーが必要なのかといった点をはっきり認識されていないようです。お正月のご自宅での一連の経緯を教えてほしい」(ケアマネジャー)
息子さんの在宅医療をこれまで献身的に支えてこられたお母さまでしたが、打ち合わせした内容を覚えていない様子も見受けられました。どうやら認知症の疑いがあり、サポート自体が難しくなってきているようでした。
患者さんの病状や療養環境は、日々刻々と変化します。その中で、家族一人一人の状況に寄り添いながら、診察結果や病状を丁寧に伝え、納得していただき、思いを共有していく--。在宅療養を続けるために欠かせないこのプロセスの重要性と、その難しさを、改めて痛感した出来事でした。




















