著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(3)資力のない病人は生活保護が選択肢になりかねない

公開日: 更新日:

 高額療養費の上限額引き上げに伴って、多数回該当の金額も引き上げられる可能性があります。さらに高額療養費の上限額に満たないため、一切の救済を受けられない人も出てくるはずです。

 実際、年収が約1160万円以上の富裕層では、いまでも恩恵を受けられないことがあります。この階層の上限額は25万2600円となっており、オプジーボの治療だけでは、この限度額を超えることはなく、完全な3割負担を長期にわたって強いられるのです。当然ながら、多数回該当を受けられることもありません。

 オプジーボは高額ですが、もう少し安い薬なら、中間層でも限度額に達しないことが考えられます。

 厚生労働省案では、2027年8月から、年収約650万~約770万円の階層の限度額が11万400円に引き上げられます。逆算すると、1カ月の総医療費が36万8000円以下の場合は、高額療養費に該当しなくなる恐れがあります。医療費が払えずに、治療を諦める人が出てくるかもしれません。自己破産して生活保護を受ければ、医療費は全額タダになりますが、現役世代にとって現実的な選択ではないでしょう。

 これからはがんと闘う手段(医療技術)があっても、資力のない人にとっては生活保護が現実的な選択肢となる世の中に入っていくということなのです。 =つづく

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