著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(1)「老化は病気」とされ「年だから」が通じない時代に

公開日: 更新日:

 2025年の日本の医療について、いま見えている範囲で予想してみましょう。いくつか大きな流れがありますが、なかでも「老化を病気としてとらえる」という動きが活発になってくるはずです。いままでの常識は「老化は病気の原因」だったのですが、老化そのものを病気と捉えることで、老化の予防や治療が可能になるという発想が、世界中で急速に広まっています。

 その動きは、医学界から次々と提案される新しい病名(疾病概念)にも表れています。「COPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)」「CKD(慢性腎臓病)」「CHF(慢性心不全)」「CLD(慢性肝臓病)」「アイフレイル」「ヒアリングフレイル」「ロコモティブシンドローム」などです。

 ちょっと分かりにくいですが、各臓器が慢性的に弱ってくる状態を指していると思えばいいでしょう。もちろん、もっと細かい病名に分類できます。たとえばCKDには、高血圧性腎症、糖尿病性腎症、慢性腎炎などが含まれます。それらは異なる病気ですが、症状や治療法がほぼ共通していることから、まとめてCKDと呼ぼうというわけです。

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