著者のコラム一覧
鈴木英介株式会社イシュラン代表取締役

東京大学経済学部、ダートマス大学経営大学院卒。「納得の医療を創る」を目指し株式会社メディカル・インサイト、株式会社イシュランを創業。医療メルマガ「イシュラン」は会員数10万人超。著書に「後悔しないがんの病院と名医の探し方」。

(7)がん治療にかかる高額な医療費…どう減額させる?

公開日: 更新日:

 ただ、治療が長引くほど患者の金銭的負担が大きな重荷になることも事実です。貯金を取り崩していかざるを得ないケースや、治療が長引くことで休職や退職により収入が大きく変化する、家族の生活が一変するなど、がんの診断・治療に伴う経済的な負担が、患者や家族のQOL(生活の質)に及ぼす悪影響を「経済毒性」と呼びます。

 日本は前述の公的保険の制度により経済毒性はある程度緩和されてきましたが、2024年末に「高額療養費の上限額引き上げ」をする政府案が出されたことは記憶に新しいと思います。この政府案は患者団体や医療関係者、そして世論の強い反対によりいったんは凍結されたものの、2026年夏以降段階的に引き上げる方針であることが発表されています。

 医療費の適正化が必要なのは重々承知していますが、上限の引き上げをすることでがんや難病の患者がさらに困窮することになりかねません。高額療養費制度は経済毒性を引き起こさないようにするという意味で、日本の医療制度の根幹ともいえるものなので、限度額の引き上げに手を付ける前に別の手段で「医療費の適正化」が進んでいってほしいと願っています。 =つづく

【連載】イシュラン編集長が教える!納得のがん治療のために知っておくべきこと

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