著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(3)貧富の差は医療の差に…「混合診療の実質解禁」が近づいている?

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 それが2022年から7000円に引き上げられました。この引き上げによって、紹介状を持たない患者の負担が2000円増えたことになります。しかしその裏には、巧妙な仕掛けが隠されているのです。

 大病院を受診すると「特別の料金」とは別に、通常の初診料も請求されます。その価格は2880円、3割負担で864円です。したがって初診に関する患者負担は7864円になるはずです。

 ところが2022年の改定では、紹介状を持たない患者の“初診料が”2000円減額され、880円になったのです。3割負担で264円、つまり患者負担は「特別の料金」と合わせて7264円。しかしここでのポイントは、初診料を2000円減額した点です。これにより、病院の収入は増えないまま、健康保険の負担を1400円(2000円の7割)減らすことができたのです。

 直近の2024年における、紹介状なしの患者数は約133万人だったので、この複雑な操作によって、健康保険の負担が約18億6000万円減ったことになります。さらに、消費税として9億3000万円以上が国庫に入ったはずです。「特別の料金」を払ってでも大病院に行きたい患者はほとんど減らないので、これからも毎年このくらいの金額の節約と消費税が期待できるのです。

 増え続ける国民医療費をいかに減らすかは、政府の重要課題のひとつです。もし「特別の料金」と同じような仕組みを他の項目にも入れることができれば、患者負担は増えますが、健康保険財政にも消費税収入にもプラスになるわけです。 =つづく

【連載】高市一強で健康寿命は?

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