戦時の健康(3)石油不足で医療体制も崩壊…なぜ戦時に感染症は増えるのか?
戦時において「健康」を考えるとき、「感染症」は避けて通れない問題だ。
戦争は食料不足を引き起こし、人々の栄養状態を悪化させる。だが、その影響は単なる体力低下にとどまらない。栄養不良に陥った身体は免疫力が低下し、感染症に対して極めて脆弱になる。
そして戦時には、その感染症が広がる条件が整ってしまう。感染拡大の最大の要因は、「衛生環境の崩壊」だ。医事評論家で長浜バイオ大学元教授(医療情報学)の永田宏氏が言う。
「いまの日本では、水道をひねれば安全な水が手に入り、下水道によって排泄物は適切に処理されます。ゴミは定期的に回収され、都市の衛生は一定水準に保たれています。しかし戦争が始まれば、こうしたインフラは容易に機能不全に陥るのです」
それはウクライナや、ガザ地区・イランなどの中東地域を見ても明らかだ。空襲や攻撃によって水道施設が破壊されれば、安全な飲料水の確保は困難になる。電力が止まれば浄水や排水の機能も低下する。避難生活では多数の人間が狭い空間に密集し、トイレや手洗いの環境は急速に悪化する。


















