“玉こんにゃく”みたいなものが…ミュージカル俳優の川口竜也さん転移性肝臓がんとの闘い
“生かされていること”への感謝が大きい
抗がん剤は2週間に1回。血管に確実に薬剤を入れるためのポートという器具を胸に装着して、牛乳瓶大の抗がん剤ボトルを3日間ぶらさげて投与します。終わると1~2日はダウンするのですが、それが過ぎると稽古にも行けるようになります。
とはいえ、電車では座らずにいられないほどしんどかった。舞台本番で38.5度の熱が出たこともあります。でも役者、スタッフみんなが温かく支えてくれたおかげで、出演日程を調整いただき舞台を終えることができました。
抗がん剤が効いて肝臓が動き出すと、生活のすべてがうまく回り出して、仕事も次々と切れ目なくいただいていました。でも今年6月、パタッと食べられなくなったのです。そして仕事の現場で嘔吐……。「閉塞性大腸炎」でした。ただでさえ詰まっていた大腸が炎症を起こして小腸までパンパンに。破裂寸前だったようです。
舞台のリハーサルがあったのに即入院となり、いったんステント(狭くなった場所を広げる器具)を入れる手術をしたあと、7月6日に大腸を切除して小腸をつなぎ合わせる腹腔鏡手術を受けました。
その間、抗がん剤はお休みしましたが、7月29日から再開となりました。かれこれ15回目ぐらいでしょうか。回数は決まっておらず、肝臓のがんが小さくなるまで続き、最終的には手術で切除するのがベストだと聞いています。
こう見えて、不安がないわけじゃありません。でも、自分が死ぬ感覚はまるでないのです。それよりも“生かされていること”への感謝が大きい。家族、仲間、マネジャーにも感謝していますよ。伝わっているかわからないけど……自分は変わったと思います(笑)。
負けず嫌いの昭和の男ですから、初めは「がんに勝つ」と思っていました。でも、共に付き合っていくものだと教えてくれた人がいて、今は闘うものではなく「ここが危なかったんだよ」って教えてくれるものだと思っています。
私は芝居がないと生きていけません。歌がないと生きられません。今は、芝居ができて、歌が歌える。これができる間は大丈夫だと思っています。
(聞き手=松永詠美子)
▽川口竜也(かわぐち・たつや) 1967年生まれ、大阪府出身。18歳の時にミュージカル俳優を目指し、大学で舞台芸術を学ぶ。日本ミュージカル研究会・劇団JMAに入団し、経験を積み、2008年に上京。「ミス・サイゴン」や「エリザベート」などの出演を経て、13年に「レ・ミゼラブル」のジャベール役で国際的評価を受ける。27年3、4月、藤田俊太郎演出「ラグタイム」にファーザー役で出演予定。
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