“玉こんにゃく”みたいなものが…ミュージカル俳優の川口竜也さん転移性肝臓がんとの闘い

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川口竜也さん(ミュージカル俳優/59歳)=転移性肝臓がん

「大腸がんから肝臓に転移している」

 そう告知されても特に驚くこともなく、「やっぱりそうですよね。それじゃ、どうしましょうかね?」と、私が平然と切り返したものだから、医師は拍子抜けしたようでした。そして「何もしなければどうなるか言いましょうか?」と切り出し、「8カ月で死にますよ」と最悪のリスクを告げたのです。少しはへこんでほしかったのかもしれません(笑)。

 異変に気付いたのは2024年秋でした。元気なのに体重が減っていくのです。持病の神経性胃炎か、年のせいだとやり過ごしましたが、80キロの体重が7~8キロ減ってくると、役者仲間から「痩せたね、大丈夫?」と言われるようになりました。その後、短い発熱を繰り返すようになって、ときどき嘔吐も伴いました。

 そして2025年5月、大腰筋のストレッチで肝臓の辺りを押してみると、指が全然入らず、玉こんにゃくみたいなものがゴロゴロあることに気づきました。「これは何だ?」と思うと同時に、直感的に「がんだな」と思いました。それまで病気に縁がなかっただけに、激やせからの発熱や嘔吐、玉こんにゃくの存在で確信しました。

 近所のクリニックへ行くと大きな病院を紹介され、CTや内視鏡検査を受けました。でも大腸には内視鏡が通らない状態で、肝臓には玉こんにゃく状の腫瘍が10個以上あることがわかったのです。

 転移していると手術はできないとのことで、肝臓のがんは抗がん剤で小さくし、大腸がんについてはできる限り流動食に近い、消化のいいものを食べるように指導されました。それが5月末のことです。

 8月には以前からずっとやりたかった「ジャージー・ボーイズ」の舞台が決まっていて、6月は稽古が始まるという時期。ですが、マネジャーと相談して降板を決め、プロデューサーの今村眞治氏に事情を説明しました。「そういうことなら」と泣きながら承諾してくださって、それで終わると思ったら、その晩に演出家からマネジャーに「本当にいいのか?」と念押しの電話がありました。

 演出の藤田俊太郎氏は古くから知っている仲間です。彼は故・蜷川幸雄氏の演出助手を務めた人物で、彼いわく「蜷川さんは亡くなる直前まで酸素マスク付けて演出した。川口さんはやりたくないのか?」と迫るわけです。

 各方面に迷惑をかけると思ったから降板を決めたのであって、役者の本音はやりたいに決まっているじゃないですか。「やりたいなら、全力でサポートするからやろう!」と説得されて、改めてプロデューサーにやりたい旨を告げ、「抗がん剤治療で定期的に4~5日間は動けないけれど、それでもやらせてもらえるか」と相談しました。

 いつ具合が悪くなるかわからないがん患者を出演させることは大きなリスクです。でもダブルキャストを務める先輩俳優、阿部裕氏も背中を押してくれて、ついにOKが出ました。そんなことは前例がありません。お願いした身でありながら、「マジか」と思いました。「俺できるのか?」って(笑)。

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