なぜ大雨の「防災情報」は役に立たないのか 専門家が指摘
今年もまた土砂災害に神経をとがらせなければならない季節を迎えている。断続的に激しい雨が降り続いた九州南部では、5段階の警戒レベルで「レベル4」に当たる避難指示が発令された地域もあった。
この5段階の警戒レベルは、237人の死者・行方不明者を出した昨年7月の西日本豪雨を受けて新たに設けられたものだ。住民が取るべき行動を直感的に理解しやすくなるようにしたとされるが、防災システム研究所の所長で防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏は、「ひんぱんに変更されて、より複雑になっている」と指摘する。
「たとえば警戒レベル4には、避難勧告と避難指示が含まれます。レベル3は、高齢者などは避難ですが、そのほかの人が避難の準備をするとなっています。数字が示すのはひとつのことではないので、内容を覚えにくいのです。そもそも変更した仕組みが広く浸透するには数年が必要。その間に何度も変われば、制度は定着しません」