コロナに加え…水害後に注意すべき感染症の知識と予防法

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 雨雲が一列に並んで多量の雨を降らせる「線状降水帯」が発生し、甚大な被害をもたらした九州豪雨。いまだ土砂災害の警戒が続いているが、水害後は汚泥との闘いと、感染症による2次被害が待っている。

 ◇  ◇  ◇

 叩きつける雨。九州地方を中心に襲った豪雨でまたもや多くの犠牲者が出ている。

 気象庁によると、1時間降水量50ミリ以上の年間発生回数は、統計開始の最初の10年間(1976~85年)の平均226回に比べ、最近10年間(2010~19年)は327回と1・45倍に急増。「最近は毎年どこかで水害が起きている」と感じている人も多いだろうが、データ上でも証明されているのだ。

 2年前に死者・行方不明者232人、建物の全壊・半壊1万7636棟の甚大な被害をもたらした「西日本豪雨」。いまだ記憶に新しいが、四国地方は降り始めからの総雨量が1800ミリを超える凄まじさだった。

 その際、全壊・半壊計8195棟、河川氾濫で一時2万5000人超の人々が避難所に身を寄せた岡山県。その県の担当者が「災害後に気を付けたいこと」をこう話す。

「九州地方の豪雨災害をニュースで見るにつけ、我がことのように心配しています。今は住民も混乱しているでしょうが、浸水した家屋で暮らす上で、心掛けてほしいことがあります」(同県健康推進課担当者)

 何から手を付けていいのか分からないだろうが、水害後は汚泥との闘いが待ち受けている。さらに、高温多湿のこの季節は感染症への対策も急務。体力の消耗と栄養不足が重なり、普段はかからないような病気にも感染してしまうのだ。

「まず浸水した家屋の消毒です。よく換気をするなどして屋内を乾燥させ、泥水で汚染された家具や調理器具は、次亜塩素酸ナトリウムや塩化ベンザルコニウムを使って十分に消毒してください。また、井戸の使用にも気を付けてください。家屋の泥を洗い流すには使って構いませんが、汚染されている可能性があるため、飲料用にはしないでください」(前出の岡山県の担当者)

 マンションや学校などに設置された浄化槽も同様に気を付けたい。どんなバクテリアが繁殖しているのか分からないのだという。

 このような衛生対策は「日本環境感染学会」がガイダンスを発表している。では、ガイダンスにはどんなことが書かれているのか。

 最初に、床上・床下浸水の自宅に戻ったら、室内を乾燥させるため、できる限りドアと窓を開放したい。電気が使えるなら扇風機を回すといい。浸水した衣類は「熱水洗濯」、あるいは「80度のお湯に10分以上」漬けた後に洗濯。家の消毒の際に注意すべきは、必ず泥や汚れを取り除いた後で行うこと。清掃が不十分だと消毒薬が効果を発揮しないからだ。

最も注意したいのは「破傷風」

 もっとも、床下浸水の際は消毒までは必要ない。豪雨災害の後、家の軒下や道路に「消石灰」をまくケースが見られるが、「消石灰は目に入った場合、失明する恐れがある」(厚労省担当者)ので素人が扱うには難しい。昭和の時代までは校庭の白線引きに使われていた粉だが、肌に触れると炎症を引き起こすとして現在は炭酸カルシウムに変更されている。

 そして、洪水後の感染症として最も注意したいのは細菌性の「破傷風」だ。突起物などによってケガをした箇所から感染し、最悪、死に至る。日本環境感染学会のガイダンスは、「破傷風ワクチンを10年以内に接種歴がない場合は医療機関に相談する」としている。

 だが、混乱している被災地でワクチン接種を受けるのは容易ではない。災害救援隊などの人に声をかけ、臨時の医療施設も聞いておきたい。特に50歳以上は免疫を持っている人が少ないので、災害ボランティアで現地入りする人も最低限、予防接種を受けてからにしておきたいところだ。

■避難所でも集団食中毒の危険性…「レジオネラ症」「レプトスピラ症」

 3年前の「平成29年九州北部豪雨」では、この破傷風のほか、「レジオネラ症」「レプトスピラ症」が注意すべき感染症として挙げられていた。避難所の密集空間は、急性胃腸炎やA群溶連菌の集団発生も懸念される。もちろん、新型コロナウイルスもそのひとつだ。

「さらにこの時季で言うと、食中毒の心配もあります。停電した場合、冷蔵庫の中の食品は使用せず廃棄してください。うっかり見過ごされがちなことは、家庭菜園などで採れた野菜です。井戸水もそうですが、こちらも汚染されている可能性があります」(前出の岡山県の担当者)

 12年には、京都府宇治市の洪水災害の避難所で、黄色ブドウ球菌による計106人(うち入院6人)の集団食中毒が発生している。最高気温33・5度の猛暑だった8月15日の出来事で、救援物資として提供された「おにぎり」が原因だった。浸水後の自宅などで過ごす場合も、食事には気を付けたい。

 水害後の感染症の予防で重要なのは「清掃と乾燥」。マスクの着用や手指の消毒も基本になる。どこかで聞いたことがあるが、実は新型コロナウイルスの感染予防と重なる部分が多いのだ。

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