緊急事態宣言「追加拒否」された熊本県の苦しい台所事情
■医療体制はステージ4
要請していないのに追加された福岡県にたがわず、熊本の状況も深刻だ。県内では12日までの1週間の新規感染者が前週の2倍以上の557人となるなど、感染が急拡大している。確保想定病床使用率は全入院者が福岡51.6%、熊本50.7%で両県とも「ステージ4」(爆発的な感染拡大)。重症者は福岡20.0%に対し、熊本20.3%だ(いずれも8日時点の厚労省データ)。10日は熊本市内の病床が「ほぼ満床状態」として、大西市長が市独自の医療非常事態宣言を出した。
「2016年の熊本地震、昨年の豪雨と相次ぐ災害に見舞われた熊本県の財政は逼迫している。貯金にあたる財政調整用4基金の残高は地震対応で一時的に枯渇。19年度当初予算で84億円まで戻しましたが、豪雨災害への対応で再び枯渇の危機にひんしていた。そこにコロナ禍が発生し、台所事情はさらに厳しくなった。そこで西村大臣に追加指定を申し入れたものの、ステージ4にはあたらないとの判断で見送られたのです」(県政関係者)