伝説の店「furutoshi」も運営 「SEED TANK」社長・古里太志さんの巻<5>

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伊藤家のつぼ(神奈川県・真鶴)

 こちらは2018年に東京・八丁堀から神奈川の真鶴に移転したお寿司屋さんです。八丁堀時代の人気の高さは、キープしつつも、寿司のクオリティーはより洗練されています。

 店は、真鶴半島の高台にあり、カウンターから相模湾を見下ろす絶好のロケーション。昼と夜の営業で、晴れた日のランチなら、大海原を見渡せます。

 もちろん、寿司はぬかりありません。「地元で取れた魚で寿司を握りたい」というご主人だけに、ネタは地物中心の品揃えです。

 この日は、真鶴産のナマコと近くの農園で栽培されたニンジンのすり流しからスタート。続いて地物のマハタのお造り、トロの炙り。ツマミは2皿で終わることなく、続きます。

 玉手箱のような2段重ねには、丁寧な仕事が施されたツマミが4種ずつ、計8種。菜の花を漬けマグロで包んだり、磯つぶ貝を塩茹でしたり。ご主人が自信たっぷりに説明した「お母ちゃんが焼いた卵焼き」は塩加減も甘さもバッチリ。黒コショウでいただく地ダコは歯ざわりが最高で、お酒が進むこと間違いなし。

 充実のツマミを平らげると、いよいよ握りへ。スズキではなくヒラスズキから始まり、オオモンハタの昆布締めという連続は真鶴ならでは。中トロを挟んで、ヘダイですから、地物好きにはたまりません。

 アジは梅肉で、ヒラメは昆布締めで。もちろんどちらも地物です。この地物のネタの連続が、旅情をくすぐるんですね。真鶴で寿司を食べているという満足感。「自分で釣ったものも提供したい」とおっしゃっていたご主人の心意気が強く感じられます。

 地物のネタのよさに箸が止まらず、「次はまだかな」とご飯を待つ子供のような気分でいると、「外をご覧になってください」とご主人。少しずつ上がってきた満月が海面を照らし、月の道が広がっていました。「窓から見えるのは、昼は電線、夜はガラスに映る酔った顔」なんておっしゃいますが、いやいやどうして。最高です。

 別名スマとも呼ばれるヤイトガツオには唐辛子を、ブリには大根おろしを。カウンターに醤油はなく、それぞれのネタには、ツメが塗られたり、薬味が添えられていたり。ツメも薬味も、ネタの味を引き立てる、いい仕事で。

 感心しているところに、「ロール白菜ね」と器にはロールキャベツのような一品が。

「スミヤキとアオリイカのゲソでタネを作って、今が旬の白菜で巻いたんです」

 相模湾で、クロシビカマスは炭のように黒いことからスミヤキと呼ばれます。小骨が多く、身が軟らかいため、飲食店では焼き魚で提供されることが多いですが、提供できない分でロール白菜に仕上げたそうです。ウマ味の塊に乾杯!

 さらにアオリイカの握り、モズクの味噌汁、タチウオの握りで地物尽くしの宴は幕を閉じます。大盤振る舞いのツマミ3品に極上地物ネタの握り10貫などの充実お任せコースが何と8500円! お値打ち感が抜群です。

「お寿司でお腹いっぱいになったら、そのまま寝たい」と思ったことありませんか? 実はここ、宿も併設していて、寿司のオーベルジュです。宿泊料金は、寿司込みで1万4000円(朝食なし)の安さ。予約が取れないのも納得でしょう。

(取材協力・キイストン)

■伊藤家のつぼ
神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1200―18
℡0465・87・6460

■SEED―TANK
 三井ガーデンホテル銀座プレミア16階のメインダイニング「sky」ほか、銀座と札幌で3店舗を運営。接客、サービスのプロとしてコンサルタント事業も手掛ける。

▽ふるさと・ふとし
 1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。グローバルダイニングから28歳で独立。西麻布のダイニング「Furutoshi」は著名人もひきつけた伝説の店で、2011年に銀座に移転。札幌「Agora」も経営。

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