赤く甘い実はつけなくても…次世代にバトンを渡すイチゴの子株の在り方
私が子どもの頃(およそ40年くらい前)は、イチゴの旬は春だったように記憶している。
近年はもっぱらハウス栽培が主流になり、スーパーには冬にイチゴが並ぶため、今やすっかりイチゴの旬は冬だと思われている。しかし、本来は春から初夏である。
露地栽培では春先から白い野バラのようなかわいい花が咲き、受粉して実がなるまでに1カ月少しかかる。イチゴの受粉にはミツバチの活躍が不可欠。彼女ら(働きバチは全員メスだ)が活動可能になる気温が18~25度なので、自然栽培で4~6月がイチゴの旬なのだ。
ハチというと怖いと思うかもしれないが、家庭菜園をしているとイチゴのみならずズッキーニやカボチャなども結実するのにハチが不可欠なため、ブンブン飛んでいるとうれしくなるくらい。よほどのことがない限り刺したりしないけれど、ミツバチが人を刺すとき、向こうは命がけだ。
一度、父がハチをびっくりさせてしまい刺されたことがあったが、手に残った針にはハチの体の一部がついていて、父は「かわいそうなことをした」と自分の手よりハチを心配していた。ミツバチは野良仕事をする者の友達なのだ。