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姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

医療からも家族からも見放された中国農村部の老人たち…自分で墓を掘る者も

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■小説「楢山節考」を彷彿

 湖北省のある村では69歳の老人が自殺した。シャワーで身を清めた後に殺虫剤を飲み、“冥土の通貨”といわれる紙銭を焼き、その場に倒れて息を引き取った。

中国青年報」が10年ほど前に報じた記事だが、多くの読者が注目したのは「村では波紋が起きなかった。地元で自殺は正常であり、合理的であるとさえ考えられているためだ」という一文だった。一定の年齢に達した老人を山に捨てに行くという、日本の貧しい山間部の生活を描いた昔の小説「楢山節考」を彷彿とさせる。

 湖北省武漢市出身の魏さん(仮名)は「湖北省の自殺率は中国でも最高水準といわれます。服毒、入水、首吊りはその3大手段。理由は家族の負担を減らすためなんです」と話す。

 中国では都市に出稼ぎに行った若者は、そこで自宅を購入し、もはや農村には帰らない。老人だけの村はもはや珍しくなくなった。もとより、中国では貧困から来る飢えや病気を理由に、農村の老人の自殺は潜在していた。近年は「減少傾向にある」というのが建前のようだが、それはちょっと考えにくい。都市部に出稼ぎに出た労働者たちは“バブル住宅”を高値で買わされているためだ。

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