著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

「墓じまい」に悩むシニア 費用や遺骨の始末より問題になる「家族の愛憎問題」

公開日: 更新日:

一番問題になるのは家族関係

 Iさんは揺れていた。そこには費用だけではない問題もあった。

「実は俺、墓に入っている母ちゃんの本当の息子じゃないんですよ。本当の母親は俺が小さい頃に離婚していて、今の母ちゃんは、俺が小学生の頃に親父が再婚した相手なんです。俺のことを育ててくれたけど、大人になってからは疎遠で、俺の事を嫌っていたから、あんまり仲がよくない」

 Iさんがいきなり告白してきた。実は、墓や仏壇の問題は、費用以上にこうした家族関係の愛憎がその後の供養に影響を与える。

「母ちゃんが死んだときも、老人施設から突然連絡があった。俺には見舞いにも来てほしくないと言っていたみたいで、それまで全然連絡もなかった。だからそんな母ちゃんの墓に金を払うのは納得できない気持ちがある。でもオヤジには恨みはないんです。それを考えると、墓じまいをする気持ちにもなれないし」

 こうした感情が、供養をどうしていくかを左右する。ただ、Iさんのように墓じまいや墓を維持するお金がない場合、墓の承継者が不明な「無縁墓」になってしまう可能性もある。

 今、「無縁墓」は全国的に増加している。管理費の滞納が続き、承継者が不在の墓は、しばらく放置された後に遺骨が取り出され、最終的には墓地の合同墓に合祀されるケースが多いようだ。

 墓の行く末は、すなわち「家庭」の行く末なのである。

(了)

  ◇  ◇  ◇

 本編の前編は【もっと読む】年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?…でどうぞ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  2. 2

    新庄監督の“再就職先”に挙がるまさかの球団 采配に賛否もチームのテコ入れ役にうってつけ

  3. 3

    欧州初の日本人指揮官誕生へ 森保一監督の“再就職先”は「ベルギー1部の日系クラブ」一択か

  4. 4

    中村倫也が「風、薫る」に大貢献…妻・水卜麻美アナとの「ずっと仲良く」「にこやかな」近況

  5. 5

    「恩人だけど、嫌いな人の代表」亡くなった板東英二さんが複雑な感情を抱いたプロデューサーの名前

  1. 6

    神戸への“聖地帰還”めぐり騒然…山口組・司組長「7年ぶりの里帰り」は実現するか

  2. 7

    松本若菜「ジュラシック・ワールド」吹き替え《棒読み》論争再燃…暗雲漂う主演ドラマに新たな逆風

  3. 8

    高市首相のあいさつはコピペ率85%…「広島への思い」石破前首相・愛子内親王とは絶望的格差

  4. 9

    高市官邸「被災地利用PV」が首相の命取りに? 安倍元首相“コロナおこもり動画”の二の舞を自民党が危惧

  5. 10

    日本ハム大ショック! “見限った”上沢直之が天敵に、呼び戻した有原航平が足枷となる皮肉