平塚らいてう(1)専業主婦か、働く女性か…100年前から続く問い
「らいてう」という名前は本名ではありません。本名は平塚明。明子、とも書きますね。夏目漱石の門下生であった文人の森田草平(しばしば「漱石先生にもっとも迷惑をかけた弟子」と評される)が、中国の古典「荘子」に登場する「雷鳥」にちなみ、「らいてう」という筆名を勧めたといわれています。いかにも新しい時代を切り開こうとする女性にふさわしい名前だ、と当時の人々は感じたのでしょう。
母性保護論争というと、「家庭か仕事か」という単純な対立のように受け取られがちです。しかし、実際にはそう簡単な話ではありませんでした。女性が社会で働く権利とは何か。母親が安心して子どもを育てるためには、国や社会は何をすべきなのか。さらに言えば、男性は家庭でどのような役割を果たすべきなのか──。そうした問題まで含めて議論されていたのです。
考えてみれば、令和の現在でも、共働き家庭は増え続けていますが、子育てと仕事の両立に悩む人は少なくありません。育児休業や保育所の問題、あるいは男性の育児参加など、100年前とは制度こそ違っても、本質的な課題は今なお続いているようにも思えます。だからこそ、この論争は決して過去の出来事ではありません。現代を生きる私たちが読んでも、多くの示唆を与えてくれるのです。


















