分煙社会構築への模索(上)札幌大通公園「喫煙所実証実験」の狙いと利用者のホンネ

公開日: 更新日:

 近くのオフィスから来たという男性は「これまでは木の下で吸っていてやはり周囲の人の目が気になりましたが、喫煙所ができて気兼ねなく吸えるのでありがたいですね」と満足そう。同僚と2人で会話をしながら一服中の男性は「屋根がないと寒いですね。贅沢かもしれないけど屋根付きにしてほしい」とホンネを漏らしていた。

 実証実験が始まってまだ間もない段階だが、公園内の状況に変化はあったのだろうか。大通公園を管理する札幌市公園緑化協会大通公園管理事務所長の山田順一氏によると「周辺の樹木の下などで三々五々吸っていた方たちが喫煙所に集中されたことで、1日100本以上あった喫煙所周辺のポイ捨てが50本程度に減りました」と一定の効果は現れているようだ。

 しかし、問題は公園の広さ。従来からある西3丁目の喫煙所と、今回の西5丁目の喫煙所の2カ所だけでは、とてもではないが公園利用者のニーズをカバーしきれない。

「毎日、西1丁目から西12丁目まで園内を歩いて回り、ゴミや吸い殻を回収していますが、全体で見るとまだまだポイ捨ては減っていません。(喫煙所ができた)西5丁目にしても、北側のオフィス街から来る人は喫煙所を利用していますが、南側から来る方は遠い喫煙所まで行かないで園内で吸っている方が多い。冬場は雪に隠れてしまうので特にポイ捨てが増えます。制限区域外であっても、周囲の方々に配慮すると同時に携帯灰皿を携帯するなど園内のルールを守って、公園を利用する皆さんが快適に過ごせる環境づくりにご協力いただきたいですね」(前出の山田氏)

 大通公園の実証実験は令和7年3月末まで続く。分煙環境構築に向けて喫煙所拡充の必要性を再確認するとともに、喫煙者自身の行動と意識が問われる実験となりそうだ。 =つづく

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」