大阪・関西万博で見えた「未来社会」の課題(上)「隠れたばこ」対策で喫煙所を新設
万博会場は約155ヘクタールと、東京ドーム約33個分、甲子園球場なら約40個分に相当する広さだ。シャトルバスで来場後に喫煙する場合は、西ゲートから東ゲート外の喫煙所まで歩くと10~15分程度かかる。しかも、吸い終わった後は再入場の手続きが必要で、これが喫煙者に著しく不評だった。
厚労省の調査によると、習慣的な喫煙者の割合は約16%だ。2500万人の来場者のうち成人の16%と考えると、300万人程度が喫煙者だと考えられ、ゲート外に2カ所の喫煙所では到底足りない。
利便性の問題だけではない。各国の万博スタッフや入場者による「隠れたばこ」も横行した。とりわけ喫煙所から遠い西ゲート付近では、パビリオンの裏側などでたばこを吸う人の姿がたびたび目撃されていた。
結局、万博協会は6月になって会場内にも喫煙所を設置。大屋根リングの西側(収容人数68人)と北側(同43人)の2カ所だ。一般来場者向けとは別に、関係者用の喫煙所も3カ所新設した。
「欧米では屋内での喫煙が厳しく規制される一方で、屋外での喫煙は認められているケースが多い。隣接するパビリオンの間でボヤ騒ぎが起き、責任を押し付け合ってモメれば国際問題にも発展しかねません。会場内の喫煙所の設置と周知が急務だと判断しました」(万博協会関係者)
万博協会が会場内での全面禁煙を撤回した背景には、大阪市の条例で1月から市内全域が路上喫煙禁止区域になったことも影響している。 (つづく)


















