消費増税で住宅需要は減少傾向…景気の落ち込みは要警戒
このところテレビの昼のワイドショーでは年金不安をあおっている。平日にテレビを見ているのは年金生活者や専業主婦であり、視聴率が取れるからだろう。実情を探りに私も先週、近所の年金相談センターに行くと、受付で5時間半待ちと告げられ、予約申し込みすると「来週後半まで埋まっています」と言われ驚愕した。待合室を見渡すと、すでに年金を受給している高齢者夫婦や中高年の女性が目立った。
その足で近くの新築分譲住宅の案内所に足を運ぶと、子供を連れた30歳前後の若い夫婦が内覧に来ていた。こちらは高齢者が皆無と対照的。分譲価格約3500万円の物件だが、消費税率が10%に上がれば消費税支出が増え(ただ土地に消費税は課税されず、不動産会社の仲介手数料には課税される)、入居後のエアコンなど家財道具の購入費などを勘案すれば、増税は軽視できず駆け込み需要の顕在化を実感する。
8%の課税にするためには9月30日までに引き渡しを受ける必要があるからだ。
一方、注文住宅はどうか。お宅拝見やリノベーションなどのテレビ住宅番組にマンション居住者は登場せず、すべて注文住宅やリフォーム住宅である。住宅展示場協議会による5月の住宅展示場来場者は44.4万組と前年同月比1.7%減。3月までの8カ月連続増加から2カ月連続の減少に転じた。注文住宅では、19年3月末までに工事契約すれば、引き渡しが10月の増税後でも旧税率が適用される特例の影響が顕著とみられ、6月以降も注文住宅は冷え込もう。