伊藤博敏
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伊藤博敏ジャーナリスト

1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。数多くの週刊誌、月刊誌のほか、現代ビジネスなどウェブニュースサイトにも寄稿。主な著書に「許永中『追跡15年』全データ」(小学館文庫)、「『カネ儲け』至上主義が陥った『罠』」(講談社+α文庫)、「金融偽装─米国発金融テクニックの崩壊」(講談社)、「黒幕」(小学館)などがある。

世界を襲う新型コロナ危機 始まった日米中「治療薬戦争」

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスに対する最大の不安は、治療薬もワクチンもないことである。薬の承認に至る臨床試験には、長い年月がかかり、今回のコロナウイルスは「新型」なので、とても間に合わない。だが、「代用」はある。インフルエンザやエボラ出血熱などの他の抗ウイルス薬が有効な場合だ。

 そこで政府は3種類の治療薬を患者に試す方針。こうした臨床試験は、“本場”の中国はもちろん、巨大製薬会社の多い米国も取り組んでおり、日中米コロナ治療薬戦争が本格的に始まった。

 日本政府が取り組むのは、富士フイルム富山化学が抗インフルエンザ薬として承認を受けた「アビガン」と、米国立衛生研究所(NIH)が行う臨床試験に参加する抗エボラ出血熱の「レムデシビル」、そして抗HIV薬として高い評価を受けている「カレトラ」だ。ただ、このうちカレトラについては中国上海公衆衛生臨床センターがまとめた臨床データでは、新型コロナ感染者への投与に効果はあまり確認できなかった。現段階では、アビガンかレムデシビルといった選択である。

 アビガンについては、富士フイルムが傘下に収めた富山化学工業が、1998年ごろから失敗を重ねつつ、アビガンにつながる成分を発見。2005年の鳥インフルエンザで注目され、臨床試験をさらに重ね、14年に「条件付き」で承認された。動物実験の段階で、胎児に奇形が生じる可能性がある催奇形性が認められたので条件付き。条件は「新型」や「他のインフルエンザ薬が効果なしの場合」なので、今がまさにその時。17年3月、政府備蓄が決まって、既に200万人分の在庫がある。加藤勝信厚労相は、2月22日の段階で投与する方針を明らかにし、会社には増産を求め、臨床試験が始まった。

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