攻めすぎた5代目レクサスLS 2度目マイチェンモデルに乗る
レクサス LS(車両価格¥9,996,000~/税込み)
2019年はレクサス大躍進の年だった。
世界2大マーケットで中国では前年比25%増しの20万台超。北米も32万台強で過去最多を記録し、日本も13%増しと好調。世界トータル販売を見ても10%増しの76万5000台で文句ナシの過去最高。特に米中貿易摩擦もあって、自動車販売が全体で8.2%も落ちた中国で伸びてるのが凄いが、調べてみるとメルセデス、BMWほか高級車も軒並み不況に強く微増状態。
中でもレクサスはドイツ勢と違い現地生産がなされておらず、これまで全車日本からの輸入だったが、19年から輸入関税が引き下がったのが大きい。実力以上に中国で伸びたのだ。
スタイルも走りも攻めすぎた印象あり
同時に気になるのが内訳で、なによりもフラッグシップセダンのLSの勢いだ。というのも17年デビューの5代目LSが奮わない。国内でも姿を余り見ないし、17年10月の発売以来、国内乗用車販売ベスト50に入ったのは同年11月から翌年3月までの5回のみ。事実上1000万円超えの高価格帯もあるとはいえ、かつてセルシオと呼ばれ、バカ売れしていた頃から考えると寂しい限りだ。
というわけで昨年10月に発表されたマイナーチェンジモデルに乗ってみた。実はマイチェンは18年に続き2回目でどちらも乗り心地中心。いかに走りが問題視されているか分かるが、事実5代目はスタイル、走り共に攻めすぎた印象あり。筆者としては、日本を代表するプレミアムのレクサスだけにチャレンジ精神は応援したいが、ヤリ過ぎはヤリ過ぎ。再出発して欲しい。
車内のタイト感は相変わらず
改めて乗って思うが、スタイルはセダンというより完全にクーペだ。全長5.235×全幅1.9mにはとても見えない。車内に入ってもタイト感は相変わらずで、確かに日本の伝統芸能を生かした切子調ガラスオーナメントはセクシー。とはいえ空間作りは従来のLSファンからみると違和感があったのかもしれない。
さらに走りだ。1回目マイチェンでは先進安全性能の進化と共に四駆モデルのショックアブソーバーを改良。2回目は新作アブソーバーを全車採用とし、足回りの電子制御やセッティングが見直された。分かり易いところではハイブリッドのモーターパワーが増し、低速時のEV走行距離が増えた。また一部を除き使われているランフラットタイヤのサイドウォールがしなやかになった。
エンジンはV6+モーターに
特に発進時の静かさは顕著で、明らかに電動感は増した。走りも全体にソフトになり、無駄なゴツゴツ感は減ったが、それでもかつての無振動とも言えるようなLSの走りとは違う。明らかに新生スポーティー路線が残っているのだ。
パワートレインも現行型はV8エンジンが廃止され、3.5ℓV6+モーターのLS500のみ。これまたかつてV8が持っていた溢れるようなトルク感はない。
確かに良くなった。でも元々の5代目の個性も当然残っている。つくづく高級車作りの難しさを感じた次第である。