<5>サービス付き高齢者向け住宅にガッカリする理由
今年75歳になった遠井安男(仮名)。埼玉県熊谷市郊外に立つ築40年以上の自宅が重荷になり始め、駅近の中古マンションへの引っ越しを考えたが、高額すぎて断念。次に知った“残りの人生を安心して過ごせる住まい”はサービス付き高齢者向け住宅だった。とにかく費用が魅力だ。
サービス付き高齢者向け住宅、略してサ高住。60歳以上か、要介護認定を受けた60歳未満を対象とする賃貸住宅だ。
国が業者に1戸あたり100万円の補助金を出すなど、超高齢化社会の受け皿として各地で建設が進められており、2021年10月現在、全国で約27万戸が運営されている。建物はバリアフリーを徹底、生活相談や介護体制が充実しているので、高齢者が安心して暮らせる。
自立して生活できる人向けの「一般型」と、介護が必要な人向けの「介護型」があり、一般型なら入居一時金は数十万円程度からあり、なかには一時金なしのところもある。家賃や食費などの月額費用は5万円から25万円程度で入居できる。
遠井本人は75歳とはいえ、いたって健康だが、妻は数年前に骨折して、少し足を引きずっており、サ高住なら安心できそう。年金生活でも、この程度の費用負担なら何とかなりそうと、さっそく近くの物件を見学してみた。