小麦高騰でパンや麺が値上げも、日本人が安価な「米食」にシフトしない理由
小麦価格の高騰で、家計が少しずつ打撃を受け始めている。
小麦の生産量は紛争が長期化しているウクライナとロシアで世界全体の15%ほどを占め、価格が高止まりする中、生産量世界第2位のインドは、食糧安全保障の観点から小麦の輸出禁止を発表。小麦の国内消費量の約90%を輸入している日本では、輸入量の約50%を占める北米での不作もあり、4月からの輸入小麦の政府売り渡し価格が約17.3%引き上げられている。
山崎製パンでは、1月に続き7月出荷分から食パンと菓子パン141品目で平均7.1%値上げする。大手メーカーだけでなく町のパン屋、さらに小麦を主原料とするラーメンやうどんを提供する幸楽苑や丸亀製麺などの大手チェーンでも値上げが相次いでいる。
その一方で、価格低下で推移しているのが米だ。
「ウクライナ侵攻で小麦価格が高騰する中でも、米価格は上昇の兆しがありません。魚沼産コシヒカリや山形産つや姫など、もともと需要がある人気銘柄の価格は下がっていませんが、古米の民間在庫量が豊富な上、コロナ禍で外食向けの消費量が減っているため、全体的に低空飛行状態が続いています」(米流通評論家の常本泰志氏)