著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

あおぞら銀行の決算が映し出す海外有価証券投資の難しさ

公開日: 更新日:

 米国オフィス向け融資などの追加引き当てと投資有価証券の含み損処理で、今年3月期の最終損益が15年ぶりに280億円もの赤字に転落する見通しとなったあおぞら銀行。米商業用不動産市況の悪化に加え海外金利の上昇で保有する欧米債や投資信託の価格が急落。外貨調達コストも上昇し、有価証券の利回りを上回る逆ザヤに陥ったのが主因だ。評価損を抱える有価証券の売却を急いだ結果、23年10月~24年3月期に410億円の損失を計上する。

 1日の同行の株価はストップ安(値幅制限いっぱいの下落)まで売り込まれた。5日は盛り返し、6日にふたたび下落を演じた。「あおぞら銀行は1株当たり38円の高配当で、個人投資家を中心に買われていた銘柄。それが一挙に無配に転落したことから、狼狽売りが集中した」(大手証券幹部)とされる。株価の急落は、預金者の動揺も誘いかねない。

 1日夕に急きょ設定された記者会見で、谷川啓社長は、「流動性は潤沢で問題はない」と強調し、米不動産融資に対しても、「保守的に引当金を積んでおり、今後、損失が発生するリスクを最小化させた」と火消しに努めたが、依然として追加損失の懸念は消えない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大リストラの日産自動車に社外取締役8人が「居座り」の仰天…責任問う大合唱が止まらない

  2. 2

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  3. 3

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  4. 4

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  5. 5

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  1. 6

    ホテル代高騰、出店も停滞で出張族悲鳴、国内旅行は高嶺の花…東京・大阪では週末の客室平均単価は2万円に

  2. 7

    フジテレビ問題で中居正広氏が反撃…問われ始めた第三者委員会の信頼性

  3. 8

    大阪万博でも問われているメガイベントの是非 都市論の専門家が突き付ける「ジェントリフィケーション」問題とは

  4. 9

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ

  5. 10

    新浪剛史会長が同友会会見で“号砲”…フジテレビ「CM再開」に前のめり、サントリーにもお家事情

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省は「品質管理徹底」と言うが…新たに放出の備蓄米「古古米」「古古古米」はおいしいのか?

  2. 2

    松山千春だけじゃない“黒い交際”が切れない芸能人たち…組長の誕生日会やゴルフコンペに堂々参加の過去

  3. 3

    中居正広氏だけが破った「SMAPの掟」…元女性アナへの“性加害”認定の泥仕合を招いたものとは

  4. 4

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  5. 5

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  1. 6

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  2. 7

    「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも

  3. 8

    世界卓球男子ダブルス 64年ぶり金メダルのウラに“大魔王”引き立てた「ミスターダブルス」

  4. 9

    星野源が新作アルバム宣伝ポスターで“炎上”騒ぎ…「孤独はなくならない」発言で心配な新垣結衣との夫婦関係

  5. 10

    備蓄米狂騒で進次郎農相ハイテンションだが…早くも剥がれた「弱者イジメ」の化けの皮