あおぞら銀行の決算が映し出す海外有価証券投資の難しさ
米国オフィス向け融資などの追加引き当てと投資有価証券の含み損処理で、今年3月期の最終損益が15年ぶりに280億円もの赤字に転落する見通しとなったあおぞら銀行。米商業用不動産市況の悪化に加え海外金利の上昇で保有する欧米債や投資信託の価格が急落。外貨調達コストも上昇し、有価証券の利回りを上回る逆ザヤに陥ったのが主因だ。評価損を抱える有価証券の売却を急いだ結果、23年10月~24年3月期に410億円の損失を計上する。
1日の同行の株価はストップ安(値幅制限いっぱいの下落)まで売り込まれた。5日は盛り返し、6日にふたたび下落を演じた。「あおぞら銀行は1株当たり38円の高配当で、個人投資家を中心に買われていた銘柄。それが一挙に無配に転落したことから、狼狽売りが集中した」(大手証券幹部)とされる。株価の急落は、預金者の動揺も誘いかねない。
1日夕に急きょ設定された記者会見で、谷川啓社長は、「流動性は潤沢で問題はない」と強調し、米不動産融資に対しても、「保守的に引当金を積んでおり、今後、損失が発生するリスクを最小化させた」と火消しに努めたが、依然として追加損失の懸念は消えない。
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