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小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

あおぞら銀行の決算が映し出す海外有価証券投資の難しさ

公開日: 更新日:

■ルーツは日本債券信用銀行

 あおぞら銀行のルーツは、1998年に国有化された日本債券信用銀行。同行は債券発行で地方銀行との結びつきが深い。また、2010年にあおぞら銀行は新生銀行といったん、合併合意した経緯がある。

 あおぞら銀行の赤字転落は、邦銀の海外有価証券投資の難しさを浮き彫りにしている。一部の邦銀では米国債などの含み損の拡大などを踏まえて、時価評価に左右されないようなかたちで満期保有目的債券へ切り替える動きが見られる。

 しかし、満期保有目的の債券にはメリット、デメリットがある。「金融商品会計において、満期保有目的の債券は、有価証券評価差額が直接資本勘定に反映されない。したがって、一時的な相場変動に過度に影響を受けることなく長期的な目線での安定的な投資が可能になるというメリットがある」(メガバンク幹部)という。

 一方、「デメリットは、原則、満期前の売却が認められないため、米国で見られるように、調達コストが運用利回りを超えて上昇した場合、逆ザヤの状態が長期化するリスクがある」(同)とされる。満期保有債券なので安全というわけではないのだ。あおぞら銀行の失敗は決して特殊なケースではない。

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