著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

グリコの上期決算は利益半減…長引くシステムトラブル原因究明で一部製品は今も出荷停止中

公開日: 更新日:

「はるか昔の記憶が蘇りましたよ」。製菓業界首脳OBのひとりがこう振り返る。1984年から翌85年にかけて関西を主舞台に繰り広げられた「グリコ・森永事件」ーー。犯人グループによって大手食品メーカーが次々と脅迫され、金銭を要求された事件で、なかでも「被害が最も大きかった」(関係者)とされるのが、事件の名称にもなっている江崎グリコだ。創業家出身社長(当時)が誘拐されたうえ、青酸入りの菓子をバラまかれた。

 スーパーなど小売店の棚からはグリコ製品が消え、工場は操業を停止。経営は危機的状態に陥り、パートなど多くの従業員がリストラを余儀なくされた……。

 それから約40年を経た先週末に江崎グリコが開示した今年12月期の上期(1~6月)決算。その中身を見て、この首脳OBは思わず事件を想起してしまったというのである。「プッチンプリン」をはじめとする主力の洋生菓子類が4月から出荷停止に追い込まれ、業績が急降下していたからだ。

 賞味期限が切れた商品の廃棄損など計56億円の特損計上を迫られ、最終利益は36億円と前年同期から半減した。6月下旬以降、順次出荷を再開しているが、一部製品は今もストップしたまま。通期の最終利益は110億円(前期比22%減)という期初の見通しを据え置いたものの、「予断は許さない」(市場筋)。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  2. 2

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  3. 3

    「ルンバ」のアイロボット社に事業継続困難疑惑…代表執行役員社長が舞台裏を説明

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  1. 6

    「聘珍樓」の3度目の倒産は“氷山の一角”か…格安店の乱立で高級中華が苦境に

  2. 7

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  3. 8

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  4. 9

    中野サンプラザ、TOC、北とぴあ…都内で建て替え計画が相次ぎ頓挫する理由

  5. 10

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    (1)長嶋茂雄氏の「逆転巨人入り」は、銚子の料亭旅館の仲居さんの一言から始まった

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  3. 3

    佐藤輝明&森下翔太の覚醒で阪神「歴史的大記録」達成の予感…実現すれば40年ぶりの快挙

  4. 4

    今秋ドラフトで割食う巨人…“恋人”の創価大・立石正広が「ミスターの後継者」候補と評価急上昇

  5. 5

    長嶋茂雄さんの「まさかの一言」で高級ブランドショップ店員は素っ頓狂な声をあげ目を白黒させた

  1. 6

    北川景子が味わった二度の挫折 仕事の間にロケバス内の猛勉強で明治大商学部に合格した努力家

  2. 7

    三山凌輝がNYライブで復帰もファン真っ二つ…プロデューサーSKI-HIの“1億円頂き男子”擁護は正解か

  3. 8

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  4. 9

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  5. 10

    巨人「松井秀喜監督」は完全消滅か、可能性あるか…恩師・長嶋茂雄さんは誰よりも願っていた