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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

新たなEV刺客ヒョンデ インスターが来年上陸 サクラより便利でキューブのように可愛い!

公開日: 更新日:

ヒョンデ インスター(価格未定)

 最近曲がり角に来ているEVシフト。要素はプラスマイナスあって、確かにメルセデスはEV専用のEQブランドを段階的に止めると公表し、ボルボも普及計画を見直し。かたやトヨタハイブリッドは海外でも好調で、個人的には部分的なEVバブル崩壊もありうると思っている。あのトランプ大統領も1月に再び米大統領に就任するし。

 とはいえ、ご存じテスラCEOイーロン・マスクは米国「効率化省」のトップに就任する模様で、そもそもさすがのトランプとはいえ、CO2削減計画全面撤廃は無理だろう。パリ協定脱退はあるとしても。

 そこで今後進むのはますますのエリア別普及で、日本ではコンパクトカーの電動化が徐々に進むだろう。一進一退を繰り返しながら。

 具体的には、乗用軽EVの日産サクラや商用軽EVのホンダN-VAN e:の方向性だ。日本はそもそも移動距離が少ないし、環境負担の少ないコンパクトカーのEV化からがスジ。

補助金を引くと300万円を切る価格に?

 その点で考えると、先日韓国で乗ってきたヒョンデのコンパクトEV、インスターは結構侮れない存在だ。来春頃に日本導入予定で価格未定だが、ある意味「軽サクラと既存コンパクトEVの間」を繫ぐAセグメントのEVになるのだ。

 具体的に全長はトヨタ ヤリスやホンダ フィットより短い3.8m台のSUVで、実はトヨタ ライズより短い。それでいてバッテリーは標準で42kWh、ロングレンジで49kWhも搭載し、より厳しいWLTPモードで355kmも走る。これで安かったら結構なインパクトだ。

 実際にそうなる可能性は高く、既存のヒョンデで最小EVのコナは全長4.3m台で48.6kWhの電池を積み、日本のWLTCモードで456kmも走るカジュアルが399万3000円から。

 ここから間違いなく数10万円安くなるだろうから、インスターの国内予想価格は350万円前後。ここから補助金を引くと恐らく300万円を切る200万円台。これは日産サクラより高いが、リーフより安い普及価格でかなり魅力的。

かつての日産キューブを思い出す見た目

 肝心の実車だが、見た目はユニークなキュート系で、一瞬かつての日産キューブを思い出す。ただし、インテリアの質感などは今までのコナやEV専用プラットフォームを使ったヒョンデ アイオニック5などに比べてシンプル。

 元々は韓国で言う軽自動車規格に当たるコンパクトカーなだけに、存在感も質感も特別高くない。

 しかしEV化されてガソリン版インスターより全長、ホイールベース共に25cm長くなってリアシートは広くなっているし、外観もヘッドライトを始めすべてLED化。いまどきのピクセルデザインが散りばめられている。

 インテリアも10.25インチデジタルメーターや同サイズのセンタータッチスクリーンが導入され、デジタル性能は上級車種のコナやアイオニック5に近い。韓国版だがSOSスイッチも付いていた。

装備レベルは日本の4m級コンパクトを超えている

 加えて驚いたのは、運転席助手席共に2段階のシートヒーター&シートベンチレーションが付いていたこと。この装備レベルはぶっちゃけ日本の4mコンパクトクラスを超えている。

 走りも標準で97ps、ロングで115psで共に147Nmのパワー&トルクを発揮するモーターを搭載し、静かで滑らか。何よりボディ剛性感やステアリングフィールは日本の同クラスSUVを超えている。

 最大のキモは、来春いくらで日本で発売されるか?だが、端的な性能では日本の軽とコンパクトクラスの間をカバーする魅力的なニッチEVになりうる。

 侮れない新たなアジアンEV刺客が登場するのだ!

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