著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

名門ゼネコン復活なるか? 三井住友建設はインフロニアHDによる買収で完全子会社化へ

公開日: 更新日:

700億円超の損失

 苦境の元凶とみられているのが国内大型工事の遅れだ。対象プロジェクトは明示されていないが、「東京・麻布台ヒルズのタワーマンションとみられています。累計で700億円を超す損失が発生しています」(大手信用情報機関)という。

 麻布台ヒルズのタワーマンションは19年に着工した。地下工事の工法変更や資材の不具合が相次いだ上、資材高騰もあり建設費が膨らんだ。当初は23年3月の完成予定だったが……。

 経営面でも24年2月には、三井住友銀行出身の近藤重敏社長の辞任を求める“クーデター”が勃発。社長派と反社長派に分かれての暗闘が繰り返された末、近藤氏と君島章兒会長が、混乱の責任をとって退任する事態となった。

 三井住友銀行の福留朗裕頭取は、近藤氏が名古屋の法人営業本部時代の上司で、その関係もあり、三井住友建設は、トヨタ自動車が建設を進めている静岡県の「ウーブン・シティ」も請け負っている。

 三井住友建設は、住友グループの「白水会」、三井グループの「二木会」の両方に名前を連ねる名門。両グループにとってもこのまま放置することは許されなかった。

 一方、インフロニア・ホールディングスは22年に東洋建設の完全子会社化を目指しTOBに打って出たものの、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」などが対抗提案を出し、不成立になった過去がある。三井住友建設買収は不退転の案件だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ビジネスのアクセスランキング

  1. 1

    ロピア(上)カトパンの夫が社長就任後に急成長 イトーヨーカ堂の7店舗を手に入れる

  2. 2

    セールスマンが売りたい商品に客を誘導する「ゴルディロックス効果」…思わずハマる認知バイアスの罠

  3. 3

    お気に入りのブランドへの愛情が崩れる瞬間…パッケージが左右するコーラとペプシの評価

  4. 4

    スコッチグレイン 廣川雅一社長(1)靴底を接着剤で貼り付けるのではなく縫い付ける“一生もの”を低価格で提供

  5. 5

    トランプ政権もう不協和音?イーロン・マスク氏「ソフトバンクはカネがない」と78兆円AI投資に疑義の本音

  1. 6

    顧客期待をいい意味で裏切る手法「心理的ムーンショット」とは…“売れない”を解消した魔法の事例

  2. 7

    くも膜下出血で早逝「ブラックモンブラン」41歳副社長の夫が遺してくれたもの…妻で竹下製菓社長が告白

  3. 8

    NTT(下)ドコモ新社長はリクルート出身の転職組 NTT生え抜き以外では初めて

  4. 9

    プラザクリエイト 新谷隼人社長(4)変化するカメレオン企業 究極のビジネスモデルは「みんなの広場」をつくる

  5. 10

    プラザクリエイト 新谷隼人社長(3)36歳の若さで社長就任 自分の成長の伸びしろが、会社の伸びしろに

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表が街頭演説でブチまけた激ヤバ「治安維持法」肯定論

  2. 2

    「自公過半数割れ」後の大政局…反石破勢力は「高市早苗首班」で参政党との連立も

  3. 3

    元小結・臥牙丸さんは5年前に引退しすっかりスリムに…故国ジョージアにタイヤを輸出する事業を始めていた

  4. 4

    自民旧安倍派「歩くヘイト」杉田水脈氏は参院選落選危機…なりふり構わぬ超ドブ板選挙を展開中

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    トップ清水賢治社長に代わったフジテレビの“アニメ推し”が目に余る

  2. 7

    参院選和歌山「二階vs世耕」は血みどろの全面戦争に…“ステルス支援”が一転、本人登場で対立激化

  3. 8

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省に一喝された過去

  4. 9

    長嶋茂雄さんの引退試合の日にもらった“約束”のグラブを含めてすべての思い出が宝物です

  5. 10

    遠野なぎこさんは広末涼子より“取り扱い注意”な女優だった…事務所もお手上げだった