ホテル代高騰、出店も停滞で出張族悲鳴、国内旅行は高嶺の花…東京・大阪では週末の客室平均単価は2万円に
「大阪は万博特需の影響だが、大都市圏の相場を引き上げているのはインバウンドです。ホテルは観光客数の推移や為替を見て価格を設定するため、インバウンドの回復とともにホテル価格は上昇した。日本人客が主体のホテルも周辺の相場に合わせて値上げした」(同)
24年のインバウンド数は3687万人とコロナ禍以前の水準を超えた。今年はさらに増え、4000万人を見込む。内訳はアジア圏が主だが、欧米・豪州客の影響も大きいという。
「欧米や豪州からの客は宿泊単価が高く、長く連泊する傾向があるので、価格への影響度は大きい。客室単価が高騰しているとはいえ、他の先進国よりは安い。彼らの増加を見てホテルは強気な設定にしている」(同)
米国人旅行客は19年の172万人から24年には272万人と100万人増加した。今年3月単体では、前年より5万人多い34万人に上る。欧米・豪州客が増えれば、さらに価格は高騰しそうだ。
一方で近年の物価高が供給にストップをかける。
「需要増加でビジネスホテルは棟数を増やしたいが、建築費の高騰で滞っている。オーナーから物件を借りるリース方式のホテルも、賃料上昇で出店が難航している」(不動産関係者)
供給が滞れば、客室単価はさらに高騰するだろう。日本人の旅行控えは既に起きている。年間延べ宿泊者数は19年まで年間3億人台で推移していたが、23年は2.8億人、24年は2.9億人と回復途上だ。国内旅行が高根の花になりつつある。
(山口伸/ライター)