米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波
2021年以降、住民らは建設不備を巡りディベロッパーを提訴しており、法廷闘争は現在も継続中。今年5月には、新たに「数千カ所の深刻なひび割れ」の隠蔽を巡る訴訟が加わった。
■1億6500万ドルの損害賠償
住民側は開発元のCIMグループとHarry Mackloweに対し、「意図的かつ広範囲な詐欺」として1億6500万ドル(約240億円)の損害賠償を求めている。訴状は、開発段階でコンクリートのひび割れがすでに確認されていたにもかかわらず、設計者やエンジニアの警告を無視し、購入者や市当局に対して情報を開示しなかったと指弾している。
企業アナリストは語る。
「市場が注目するのは三井物産への影響だ。2017年に約500億円を投じ、CIMグループ株の20%を取得している。建設に直接関与していないため影響は限定的とされるが、裁判の行方次第では不透明さも残る」
現地メディアによれば、美観を重視して採用された新素材のホワイトコンクリートが問題の一因とされている。さらに極端に高く、細い建物には従来の建築常識では予測できないリスクがあるのかもしれない。
425メートル。文字通りの「高い買い物」をした住民たちが、枕を高くして寝られる日はくるのだろうか。
(小野悠史/ニュースライター)