東京・千代田区長が転売禁止を要請…住宅価格高騰で韓国が行った課税強化の効果
隣の韓国でも、首都ソウル圏への人口集中が進み、不動産価格の急上昇が問題となっているため、大胆な課税策が導入されてきた。例えば、短期転売への課税強化として、1年以内に住宅を転売した場合、譲渡所得税が最大77%に引き上げられた。他国と比較しても大幅な課税策だった。
実際、ソウル市内の転売件数が大幅に減少し、投機的な取引の抑制に一定の効果があったとされている。
■投資家に最大12%の追加税
また、複数の住宅を所有している投資家に対して最大12%の追加税が導入され、これによって投資家たちは物件の保有を減らし、課税策実施の翌年にはマンション価格は22.4%も下落したという。しかし、23年前半には9.99%の反発が見られ、25年2月には、ソウルの住宅価格は前年同期比3.63%上昇し、市場の過熱感の抑制効果は一時的なものにとどまった。
同様に日本で投機抑制策を強化した場合でも、効果は限定的と見るのは自然かもしれない。
不動産販売会社の社長は語る。「現場目線では、投機目的で購入する人は1割以下。首都圏全体で住宅供給が需要に追いつかない状況なので、実際に住むために住宅を購入する実需層の動きと建築コストの上昇という投機以外の要因が、住宅価格を押し上げ続けるだろう」と予想する。
投機を締め出しても、住宅価格は高根ならぬ高値の花が咲き続けそう。円安で旅は遠のき、どこかへ行くのも、どこかに住むのも、ぜいたくな時代になったものだ。
(ニュースライター・小野悠史)