トランプ関税ディール「次の一手」なのか…注目論文が示唆する「対日恐喝」シナリオ

公開日: 更新日:

安保の傘をエサに令和版プラザ合意をのませる

 これらの国々に関税引き下げのインセンティブを与えても一方的なドル安誘導に同意する可能性が低いことは、ミラン論文も認めている。

 そこで標的に据えるのは米国の「安全保障の傘」に守られている同盟国だ。ミラン論文は通貨交渉に応じなければ、有事の防衛を保証しないと脅しをかける案に言及。安保ただ乗りのブラフで、「従順な国」のひとつに日本を挙げている。

 トランプは、日本が通貨安に誘導しているとの批判を繰り返し、7日も円安への不満をぶちまけた。関税交渉の担当に指名されたベッセント財務長官は7日の米FOXビジネスで「日本は軍事、経済で非常に重要な同盟国」だと強調し、為替について議論すると表明。まさにシナリオ通りの展開ではないか。

「円高ドル安は輸入物価の高騰を緩和させるメリットがあるとはいえ、怖いのは急激な円高進行です。輸出産業は耐え切れず、経済の停滞を必ず招く。ミラン論文は基軸通貨としてのドルの覇権を守るため、同盟国に『100年物米国債』の押し売りまで主張しているだけに、なおさら厄介です。それなのに、司令塔の赤沢経済再生相は『輸入物価を下げる作用がある』と円高のメリットを強調し始め、きのうは日銀の植田総裁も円高に直結する『さらなる金利の引き上げ』に言及。早くも『白旗』です」(経済評論家・斎藤満氏)

 属国・日本はトランプ流ディールの格好のカモになるしかないのか。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発