元セレソンJリーガーが見たザックジャパン(2) ジーニョ
今から17年前、97年にジーニョに話を聞いたことがある。その時、ジーニョは横浜フリューゲルスでチームメートだった前園真聖がアトランタ五輪後、すっかり変わってしまったと嘆いていた。
「以前の彼は前線からボールを追っていた。彼にはそれほど守備は期待されていない。でもスペースを消すだけで他の選手は楽になるんだ。しかし、五輪の後、彼は攻撃だけしかしなくなった。メディアもファンも“ゾノ! ゾノ!”と大騒ぎだった。彼の頭の中はTVコマーシャルなどサッカーとは別のことでいっぱいのようだった。有名になればなるほど、ハードな練習をしなければならない。しかし、彼はそれを怠ってしまった」
その言葉をジーニョにぶつけると「そんなこともあったね」とほほ笑んだ。
「マエゾノにも豊かな才能があった。今の日本人選手と同じような機会を与えられたら、世界的な選手になったかもしれない」
かつての日本では、ほんの少しの成功で選手は舞い上がったものだ。そのことを思えばACミランのようなビッグクラブに移籍しても、本田は満足しないで「W杯で優勝する」と自分を厳しく追い込んでいる。日本人選手のメンタリティーも、随分と変わったものだと実感する。