山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

もう不毛な忖度は不要に プロOBの野球評論に新たな道が

公開日: 更新日:

■中村紀洋氏は打撃技術を動画配信

 しかし、時代は変わった。現代では影響力のある著名人の場合、わざわざテレビ局に頭を下げて仕事をもらわずとも、自ら撮影した動画をネットで配信し、視聴者から直接対価を得ることが可能になった。不毛な忖度を必要としない自由な言論環境が整ってきた。

 例えば往年のスラッガー・中村紀洋氏は自らの打撃技術を丁寧に指南する動画をネット配信しており、それが一部のプロ野球選手の間で話題になっているという。確かに彼のような大打者の技術論は、それが人目に触れる機会さえ得られれば十分に商品価値がある。また、球界の諸問題についての彼なりのオピニオンも発信してくれるなら興味深い。なんとなく、賛否は分かれそうだが。

 ともあれ、そういう自主的な(野球界と利害のある会社が絡まない)動画配信での野球評論に真剣に乗り出すOBがもっと増えないものか。それとも、そんな活動ですら球界の顔色をうかがってできないものなのか。

 プロ野球OBがテレビで無難な発言をしていると、私はいつもムズムズしてしまう。本来、評論とはその対象と利害のない空間から発信されるべきで、テレビに依存しているOBにはそもそも無理がある。だったら、いつまでもテレビにこだわる必要はないだろう。すべてのOBは特殊な経験と専門的な知識・技術を備えているのだから、テレビ以外にも自らを商品化する術はあるはずだ。

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