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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

救済基金に異議 錦織や大坂にはない全豪準V選手のプロ意識

公開日: 更新日:

 錦織圭大坂なおみのように、既に地位を固めて年間何十億円もの副収入がある選手はほんの一握り。

 昨年のウィンブルドンジュニアで優勝した望月慎太郎(世界ランク732位)の今季ここまでの賞金はわずか1461ドル(約15万円)。デ杯代表の綿貫陽介でも9840ドル(約105万円)――。

 日本選手にはまだスポンサーが付く。錦織には盛田ファンドが、大坂にはヨネックスがあったが、他国では見向きもされない。そこで、ジョコビッチらトップ選手が経済的に苦しい250位以下の選手を対象に救済基金を呼び掛けた。既に600万ドル(約6億4200万円)が集まったが、この動きに異を唱えた選手が現れた。今年の全豪の準優勝者、26歳のドミニク・ティエムだ。

「全選手をおしなべて救済する考えには賛同できない。ツアーにはテニスに全人生を注いでいない選手もいる。緊急に援助を必要としている人、動物、組織が存在する」

 この苦難を乗り越えられない者は去れ、同情は不要だ、俺たちはプロだ!

 この意見は歓迎されなかった。大衆は優しい言葉が好きだが、テニス小国オーストリアから這い上がってきたティエムらしい厳しい言葉で、3強時代をまさに突き崩そうとしていた選手の、ポストコロナへの強い決意さえ感じさせた。

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