著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

三菱重工退職後に不運連続 浴びるように酒を飲み肝臓は…

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 加えて仕事もつまずきの連続だった。宝石や旋盤用のオイルのセールス。心配する友人やサッカー関係者が、立ち直らせようと仕事を世話した。しかし、長続きはせず、連夜の泥酔。結果、仲間からも見放されてしまった。そんな夫に呆れ果てたのだろうか、妻は子供を連れて家を出た。

 1978年6月2日、継谷昌三は肝硬変のため神戸市内の病院で息絶え、38年の短い人生にピリオドを打ったのだ。

 杉山隆一は、私に言った。

「酒を飲むたびにね、継谷先輩のことを思い出しますよ……」

 人生に「もし」はない。だが、継谷の人生をたどると、つい考えてしまう。もし、サッカーをやめず、三菱重工業に勤務していれば……。

 もし、会社が倒産していなければ……。

 もし、酒に溺れていなければ……。

▼つぎたに・しょうぞう 1940年、兵庫県生まれ。63年に関西学院大卒業後に三菱重工業入社。61年、63年、64年には日本代表のヨーロッパ遠征に選出された。64年東京五輪サッカー代表。

【連載】東京五輪への鎮魂歌 消えたオリンピアン

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