爪を研ぐ照ノ富士…“恨み骨髄”の横綱・白鵬に引導を渡す

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世代間の格差

 自身の延命のための休場を繰り返し、11月場所後に横綱審議委員会から引退勧告の次に重い「注意」を受けた白鵬。それでも本人はカエルのツラに何とやら。この先も当分、天下が続くのかと思ったら、白鵬に引導を渡す可能性のある力士がいるという。同じモンゴル出身の関脇照ノ富士(29)だ。

 2014年3月場所で新入幕を果たすと、翌15年5月場所で初優勝して大関に昇進。当時は「次の横綱間違いなし」と言われながら、度重なるケガと内臓疾患に見舞われ、一時期は序二段まで転落した。それでも不屈の根性と不断の努力で再入幕。今年7月場所で自身2度目の優勝を手にして、再び大関とりに挑戦している苦労人だ。

 白鵬と照ノ富士には因縁がある。それが17年の元横綱日馬富士による貴ノ岩暴行事件だ。

 同年9月場所後の秋巡業中、鳥取市内のラウンジで日馬富士が貴ノ岩を殴るなどしてケガを負わせた。これに貴ノ岩の師匠だった貴乃花親方が激怒。角界を巻き込んだ大騒動の末、日馬富士は引退、協会との溝を深めた貴乃花親方の退職につながった。

 当時は貴乃花VSモンゴル勢の図式で語られることも多かったが、「モンゴル勢」といっても一枚岩ではない。

 親方のひとりは「同世代はともかく、世代が異なるとさほど親密ではない」と、こう話す。

「モンゴル人力士の第1号となった旭鷲山(元小結)や旭天鵬(元関脇、現友綱親方)らを第1世代とすると、彼らに憧れて入門した白鵬や日馬富士は第2世代。照ノ富士らはその下、第3世代に相当する。第1世代が集団脱走するなどトラブル続きで第2世代までは各部屋とも彼らを入門させることに消極的だった。白鵬も裸一貫で来日、いくつもの部屋に断られ、最終的に宮城野部屋に拾われた格好だ。彼らが活躍し始めるとアマチュア相撲界もモンゴル人力士に目をつけ、相撲強豪高校は次々にモンゴルから留学生を迎えた。照ノ富士や逸ノ城らも日本の高校から角界入りしている」

 問題は第2世代と第3世代の格差だ。

「第2世代の白鵬らは右も左も分からず、言葉すら通じない相撲部屋で苦労を重ねた末、強くなった。けれども第3世代の力士の多くは留学というクッションを置いて入門している。それだけに白鵬らは、年下の同郷力士にあれこれと苦言を呈すことが多い。おまえらの道をつくってやったのは自分たちという思いもあるでしょう。しかし、照ノ富士たちにすれば、実績は凄いけど、口うるさい先輩と映ってしまう」(前出の親方)

■「壁があるので言えない」

 照ノ富士は暴行事件の際、貴ノ岩とともに正座で説教され、日馬富士から「言いたいことがあれば言いなさい」と言われたものの、「壁があるので、自分たちは言えないんで」と発言している。

 照ノ富士の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は騒動の直後、暴行事件がきっかけで貴乃花親方に大恥をかかされた。貴ノ岩を殴った日馬富士は伊勢ケ浜部屋所属。師匠は弟子を連れて貴乃花部屋の宿舎に謝罪に赴いたものの、公衆の面前で貴乃花親方に無視されたのだ。

「実はその後、伊勢ケ浜親方は貴乃花親方に会って、直接、謝罪しているのです。貴乃花親方はしかし、申し訳ないと頭を下げた伊勢ケ浜親方を頑として許さなかった。あまりにかたくなで、取り付く島がなかったとも聞きました。そもそも暴行事件は、白鵬主導による貴ノ岩のつるし上げだったとも言われている。それがきっかけで自分も説教を食らい、揚げ句に師匠まで屈辱を味わった。すべての発端が白鵬だとすれば、照ノ富士は白鵬に対して恨み骨髄ですよ」(角界OB)

 照ノ富士と白鵬が最後に対戦したのは17年5月場所。あれから3年半、再び横綱とも戦える地位に戻った照ノ富士が、白鵬に引導を渡すべく牙を研いでいる――。

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