稲見萌寧が今年8戦4勝!五輪代表争いで渋野日向子崖っぷち

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【フジサンケイレディスクラシック】最終日

 今年に入ってから8戦4勝、勝率50%の勢いに乗るのがプロ4年目の稲見萌寧(21)だ。

 1打差2位発進の最終日は1番、2番と連続バーディーを奪って首位に躍り出ると、そのまま逃げ切った。

 3日間とも67で回り、ただひとり2ケタとなる通算12アンダーまでスコアを伸ばし2位以下を引き離す強さが光った。これで今季獲得賞金は自身初の1億円超え(約1億188万円=3位)となった。

 26日発表の世界ゴルフランキング(WR)は39位から30位前後に浮上するとみられ、日本勢では畑岡奈紗(22・10位=4月24日現在)、渋野日向子(22・19位)、古江彩佳(20・24位)に次ぐ4番手になりそうだ。

■稲見はあと2勝で渋野を逆転する可能性

 同時に東京五輪代表入りの可能性も出てきた。

「ずっと変わらずに(五輪へ)出たいという思いはある。でも、毎週毎週の1試合を大切に戦い、(それでランクが)浮上して出られたらラッキーだと思う」(稲見)

 五輪出場は、6月28日発表のWRを基準にしたオリンピックランキングで決まる。

 米女子ツアーは「全米女子プロ」(6月24~27日)までの8試合、日本女子ツアーは「アース・モンダミンカップ」(同)までの9試合が対象になる。海外メジャーに勝てば100ポイント、米女子ツアーは優勝50ポイントと高い。一方、国内ツアーで勝っても19ポイント前後と低いが、勝ち続けることでWRを上げ、日本勢2番手になり、代表入りを確定させることはできる。

「渋野が今年に入って獲得したポイントは7.9ポイント(6試合)にすぎません。一方、稲見は85ポイントと渋野の10倍以上も稼いでいる。2人の総ポイント差は40を切っており、稲見が国内であと2勝すれば順位がひっくり返る可能性は十分にあります」(ツアー記者)

 稲見は「今年は日本で頑張ると決めている。海外に行くという考えはない。勝てるだけ勝ちたい」という。

 8戦4勝のペースなら、残り9試合で「2勝のノルマ」も十分にクリアしそうだ。

「パターがうまくなったことが好調の理由」

 それにしても、今の強さには目を見張るものがある。

 この日は2週連続優勝を狙う首位発進の山下美夢有(19)とは1打差。序盤の連続バーディーですぐにトップに立つと、14番までに4つスコアを伸ばして楽勝パターンに持ち込んだ。

 唯一のボギーは15番パー4。2打目はアドレナリンが出たのか、逆風の中、グリーンを大きくオーバー。高さのある砲台グリーンに向かって打ち上げのアプローチはつま先下がりのライ。ロブショットは寄らなかったが、ボギーで切り抜け、直後の16番パー5では、渋野のお株を奪うバウンスバックを見せた。今年は川奈名物の強風は吹かなかったものの、攻めのゴルフで難コースを制した。

 最終日をテレビ観戦した並木俊明プロは稲見のスイングをこう解説する。

「左肩が回っているのにバックスイングはコンパクトで、手首を固めたままトップまで持っていく。下半身がしっかりしているので、トップは椅子に座っているように安定している。インパクト後はクラブヘッドがインサイドに抜けている。キレイなスイングアークで大きく曲がる要素はない」

 昨年からのコロナ禍により、今季は2020年と21年が統合された。稲見はここまで19試合で通算5勝。平均ストローク2位(70.42)、パーオン率2位(73.82%)、パーセーブ率1位(89.92%)、リカバリー率1位(71.58%)とデータが好プレーを裏付けている。

 川奈はアップダウンがきつく、大きくうねったフェアウエーとコーライ芝の砲台グリーンが特徴。そこでの好プレーは今オフから元キックボクサー平野洋平氏の指導により、体幹が鍛えられたことも大きい。

 この試合で稲見のバッグを担いだ奥嶋誠昭コーチは、「稲見は昔からショットメーカーであり、2、3ヤード刻みの絶対距離感を持っている。パターが入れば勝つ。開幕の2週間前にパターのアドレスで締めがちの右わきを少し緩めさせた。パターがうまくなったことが好調の理由です」と語った。

■渋野はWR15位圏内から脱落

 そんな稲見と対照的なのが渋野だ。現在は来季の米女子ツアー出場権獲得を目指して海外遠征中であり、国内不在だ。

 今年はオフに取り組んだスイング改造も、うまくいかずに出場した国内4試合はトップ10入りゼロ。3月下旬に渡米し、メジャー「ANAインスピレーション」は予選落ち。ハワイに移動して「ロッテ選手権」は通算13アンダーと久しぶりにバーディーを量産したものの、勝ったリディア・コとは15打差も離されての33位と平凡な成績だった。

 今年のベストWRは13位。それが今では19位まで後退。自動的に五輪に出場できる15位圏内からも脱落している。

 今週から「HSBC女子世界選手権」(29日開幕・シンガポール)、「ホンダLPGAタイランド」(5月6日開幕)のアジアシリーズに出場予定だが、コロナ禍による海外への移動制限もあって苦労を強いられている。

 渋野は五輪代表を決めるWRポイントの獲得対象となる「全米女子プロ」まで帰国しない長期海外転戦も視野に入れているが、スイング改造からプレースタイルにキレが見えなくなった。ポイントの上積みが期待できなければ、絶好調で勢いのある稲見に、五輪出場権を奪われることになるかもしれない。

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