野球「金」甲斐拓也<1>レジェンド城島氏の金言「ビッグシチュエーションこそデータを頼れ」と教わりました

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 さらに捕手としてのアドバイスも受け取った。

「普段のシーズンとは違って、五輪は初めて対戦する打者揃いの上、トーナメントという1試合勝負。そこでビッグシチュエーションを迎えた時にどうするか。城島さんは『そんな場面こそ、データを大事にすべきだ』と。捕手は自分の感覚、感性も大事ですが、城島さんは『背負ってるものが大きすぎると、その感覚だって難しくなるぞ。だからこそ、ビッグシチュエーションこそスコアラーやコーチが集めてくれたデータを大事にした方がいい』と。城島さんもアテネ五輪ではそう考えて試合に臨んでいたと聞きました。そうした話を五輪の前に聞けたのは、本当に良かったですね」

 大会中はホークスでもバッテリーを組む千賀をリードした。4月に左足首の靱帯を損傷し、一軍復帰もかなわない中での代表メンバー入りは物議を醸した。楽天との練習試合では2イニング2失点と結果を出せず、招集した稲葉監督にも非難の矛先が向いた。

「当時はまだ本人の中でハマっていない感覚があったんじゃないかと思う。でも、僕はそこまで心配はしていなかった。もともと千賀は直球、フォーク、スライダーと素晴らしいボールを持っている。ケガ明けだからとかいろいろと考えすぎると良くないし、何より千賀を不安がらせてもいけない。だから、『どの球種も、腕を振ってバッターと勝負しよう』とだけ伝えました。それさえできれば大丈夫だと思ったし、実際、凄いボールを投げ込んでくれましたからね。ただ、東京五輪の千賀は完璧な状態でなかったのも事実。それでも抑えてしまうのだから、いかに千賀が凄い投手かということですよ」

 次回は限られた中でいかに投手とコミュニケーションを取ったのか。そして甲斐が「心底凄い」と舌を巻いた投手とは。=つづく

【連載】メダリストが明かす東京五輪舞台裏

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