著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

「銃と隣り合わせ」の大リーグ 勝っているときほど収拾がつかなくなる

公開日: 更新日:

 安倍晋三氏が銃撃事件の犠牲者となった。

 現職の国会議員が他殺の被害者となったのは日本国憲法下では5人目となる惨事である。

 動機がどのようなものであれ政治家への暴力の行使は自由な活動を制約しかねないものだ。それだけに、今回の出来事は日本の内外で衝撃をもって受け止められ、大きく報道されている。

 特にリンカーンやケネディら、歴代の大統領が暗殺の犠牲になり、就任間もないレーガンの暗殺未遂事件を経験している米国では、政治指導者への襲撃ということもあってひときわ大きな関心を引くこととなった。

 一方、球界全体に目を向けると、選手や球団が銃犯罪の被害に遭う、あるいは当事者になることは珍しくない。

 例えば、2019年6月に起きたデビッド・オルティーズ(元レッドソックスなど)が襲撃された事件は、記憶に新しい出来事だ。

 オルティーズは母国ドミニカ共和国のナイトクラブを利用中に銃撃され、一時は集中治療室で手術を受けたものの、その後無事に回復している。しかし、容疑者を逮捕した結果明らかになったのは、犯行の目的はオルティーズへの襲撃ではなく、オルティーズと似たような服を着た人物が対象だったという事実であった。

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