大関・貴景勝“初場所V”なら横綱昇進条件満たすも…協会幹部を悩ませる「安定感」の欠如

公開日: 更新日:

 屈辱の1敗を喫したものの、チャンスが消え去ったわけじゃない。

 9日、大関貴景勝(26)は結びの一番で翔猿にはたき込まれ、今場所初黒星。手痛い1敗となった。

 昨年11月場所では阿炎高安との巴戦を繰り広げ、自身3度目の賜杯は逃すも、本割での12勝3敗は優勝した阿炎と同成績。この場合、大相撲では「優勝次点」ではなく「優勝同点」として扱われる。

 もちろん、優勝と優勝同点は似て非なるものだし、綱とり機運が高まっているわけでもない。それでも綱とりに挑む資格はある。

 もっとも、押し相撲一本の貴景勝だけに不安も少なくない。突き押しの威力はともかく、手足が短く、組まれたら十両どころか幕下以下。押し相撲を主体としていた八角理事長(元横綱北勝海)は組まれても相手の手をまわしから切る技術に長けており、四つ相撲の力士を苦にしなかった。そうしたものが貴景勝にはない。

 頚椎にバクダンを抱えているのも不安要素のひとつだ。

 親方のひとりが言う。

「押し相撲の一番の欠点は安定感のなさ。型さえあれば多少の不調もカバーできる四つ相撲と異なり、心身の状態が成績に直結するので大勝ちしたと思ったら大負けもする。貴景勝は今のところ、3場所連続で2ケタ勝利以上だが、今後もそれを続けられるかどうか……」

■過去には昇進を見送られたケースも

 過去には好成績を残しながら昇進を見送られたケースもあった。横綱の昇進基準は「2場所連続優勝、あるいはそれに準ずる成績」。後者の解釈は至極曖昧で、「内容が悪い」「優勝次点でも独走を許した」などの理由で涙をのんだ力士もいた。ただし、2場所連続Vで昇進がかなわなかったケースが皆無なのも、また事実だ。

 初場所で貴景勝が賜杯を掴んだ場合、相撲協会はすんなり昇進させるのか。それとも「11月場所は優勝同点であって、優勝ではないから」と昇進を見送るのか。昇進基準を満たすからといって安定性に欠ける力士を横綱にしてよいものかどうか、今からアタマを悩ませる幹部もいるという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 格闘技のアクセスランキング

  1. 1

    本名力士・草野直哉は“白鵬騒動”に翻弄された照ノ富士の元付け人…雑用卒業でいよいよ本領発揮

  2. 2

    2世力士・藤ノ川成剛が受け継ぐ伝統とDNA…大学のスカウトを蹴った裏に父の助言

  3. 3

    “ケチ付き昇進”横綱豊昇龍がまた休場…名ばかり横綱だった先輩2人との「いや~な」共通点

  4. 4

    横綱大の里に舞の海氏「深刻な病、悪い癖」…V戦線に踏みとどまるも方々から辛辣意見殺到

  5. 5

    悲願の初V琴勝峰“らしくない”強気相撲はケガの功名…大関・横綱級の大器が「ひたすら前に出て攻めた」理由

  1. 6

    いとうあさこ似を自認・琴栄峰央起の“美四股”は角界随一、兄・琴勝峰の影響で高卒プロ入り決意した

  2. 7

    ウクライナ出身力士 安青錦がすべてを語った…単身来日して3年、新入幕で敢闘賞

  3. 8

    大の里は4つ目の「金星」配給で新横綱V完全消滅…不名誉極まりない“新記録”のオマケ付き

  4. 9

    大相撲平幕Vが早くも「平成31年間の9人」に並ぶ… 今後も止まらぬ番付崩壊、プロアマの差はないも同然

  5. 10

    “金星プレゼンター”横綱豊昇龍に必要な叔父の図太さ…朝青龍は巡業休んでサッカーしていた

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」