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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

新谷仁美のMGCボイコット宣言は至極まっとう 選手を国内に縛り付ける陸連の愚

公開日: 更新日:

 今週は青梅マラソン、来週は大阪、再来週は東京、さらにその次は名古屋ウィメンズと、マラソンシーズン真っ盛りだ。

 そんな折に面白い話を聞いた。今月12日に2年ぶりに香港マラソンが開催され、フル、ハーフ、10キロ、車椅子に4万人以上が参加。25回記念に前回の10倍の「奨金」という表現のマラソン奨励金が振る舞われた--。

 男子は3時間、女子は3時間30分を切った全員に賞金1万香港ドル=約16万円だから豪華な企画で、男子147人、女子66人がゲットしたそうだ。ただし、対象は香港居住者のみ。先の別府大分マラソンでは男子1182人、女子は159人がこの記録を上回っている。

 中国本土でもマラソンは人気で、大学の単位に組み込んだらキセル続出という話を聞いたことがある。不届きに思えるが、マラソンは“アバウト”が取りえで、貴族階級が考えた近代オリンピックでもマラソンだけは常に肉体労働者が主役だった――戦前のセントルイス大会では途中で車に乗ったのがバレて失格になったのがいたり、パリ大会の勝者は近道を走ったといわれる。クロワッサンを配達するパン職人が路地を熟知していたのだ。何でもあり、それがマラソンの本質だ。

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