著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

世界同時株安の影響を受ける球団、受けない球団…長期化やさらなる下落が進めばどうなる?

公開日: 更新日:

 そのため、株式を公開することで経営資金の調達を多様化し、球団経営と本拠地周辺の再開発を積極的に進めているのが現状である。

 もし、今回の株安が短期間で収束すれば、経営面での影響は軽微にとどまる。

 しかし、株安の長期化やさらなる株価の下落が進めばどうなるか。

 BATRKにとって事業の中核であるブレーブスの運営、とりわけ選手年俸の支払いは何よりも優先される。従って、再開発事業の延期や縮小などは避けて通れない。さらには、高額な契約の選手を放出することで支出を大幅に削減し、経営を安定化させることも選択肢に入る。

 そして、それでも状況が改善しなければ、さらなる事業の縮小や経営陣の交代を経て、最終的には球団の売却ということになる。

 この他にも、ブルージェイズの親会社であるロジャース・コミュニケーションズがニューヨーク証券取引所に上場しており、今回の株安を受けて株価を下げている。

 こうした様子を見て、球団や親会社が株式を公開していない経営者たちは、少なくとも今回の世界同時株安の直接の被害を被っていないことに安堵しつつ、重要な資金源であるスポンサー企業や提携企業が大きな打撃を受けていないことを願っているのである。

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