著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大型契約が球団経営に与える負の影響…米プロスポーツ球団の市場価値は上昇の一途、球団売却で精算の選択肢も

公開日: 更新日:

 この他にもアルバート・ベルに対し、健康上の理由で引退したにもかかわらず3年にわたり年俸を支払っただけでなく、選手登録も続けなければならなかったオリオールズや、引退表明後も1年間、プリンス・フィルダーを故障者リスト入りさせていたレンジャーズは、いずれも契約の規定に従った措置を取らざるを得なかったのだ。

 メッツを保有するスティーブ・コーエンは、先物取引や信用取引で財を成した人物として知られる。そのため、ソトの獲得についても投資の一環として捉えており、最終的には損をしないと見積もって契約している。

 その純資産額は大リーグの球団所有者の中で最高であり、かつてのレンジャーズに比べれば手持ちの資金は豊富である。

 米国において、プロスポーツ球団の市場価値は上昇の一途をたどっている。そのため、いざとなればコーエンは球団を売却し、その利益でソトとの契約にかかった費用を清算するという選択肢も当然ながら視野に入れている。それだけに、今回の契約に対しては、ソトが期待通りの成果を上げられるかだけでなく、メッツの経営にどのような影響を与えるかも、球界関係者は大きな注意を払っている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々