著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

五輪の肥大化を解消する唯一の妙案 渡辺守成氏「五大陸同時開催案」に世界のメディアが仰天した

公開日: 更新日:

【第1回】開催経費と肥大化問題

 国際オリンピック委員会(IOC)会長選挙が2カ月後に迫っている。この選挙に立候補しているIOC委員は7人。コロナのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など世界の荒波を泳いできた現会長バッハ体制12年の後を継ぐ第10代会長には、新時代のオリンピックを創出する責務がのしかかる。オリンピックが抱えるさまざまな問題をどう乗り越え、世界にどんなメッセージを発するのか? 昨年12月下旬に公表された彼らのマニフェストをひもとき、会長選挙の行方を主なテーマから見つめる。

 まず多くが関心を寄せるのは、五輪の肥大化への処し方だろう。日本人が目の当たりにしたコロナ禍での東京五輪は、招致段階での開催予算を大幅に上回った。当初7340億円のコンパクト五輪を売りにしたが、結果は1兆4238億円。バッハ五輪改革の一つに大会開催経費の削減があり、東京はそのロールモデルとなるべきだったが、五輪史上初の延期、コロナ対策や無観客開催がそれを阻み、昨年のパリ五輪がその使命を実現しなければならなかった。

 パリ五輪の開催経費は約7256億円、約43億円の黒字を出した。新設は3施設に抑え、既存施設と仮設で対応した。パリ五輪の成功を受けてか、立候補者のマニフェストからは五輪肥大化への対処よりもむしろ、オリンピックの価値の高まりをさらに推進しようという積極的な主張が聞こえる。パリ五輪に国内オリンピック委員会会長としても関わった有力候補ラパルティアンは「IOCが新たな哲学のもと進めたパリ五輪をフランス国民の約82%が自国のために良かった」としたことを喜び、2034年までの夏冬五輪が既に決まっているのでオリンピックの未来に何を望むか熟考できるとしている。

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